(1)
正月を過ぎるころから旦那の帰りが遅くなり、徹夜の泊まり込みも多くなりました。
3月頃になってようやく一段落したらしいのですが、今度は現地に行かされかもしれないと言い出しました。
プログラマーの一人が、体調を崩して退社してしまい、その分が旦那に回ってきたということでした。
結局土壇場になって、旦那が九州の小倉に出張に行くことになりました。
3日という予定だったが、帰れなくなったと電話がありました。
いつ帰れるのかと聞いてみると、いつ帰れるか分からないということでした。
下請けに出したプログラムが動かなくて、修正はいつできあがるか分からないといいだしました。
動いたときに帰れるが、動くまでは帰れないとたよりない口調で言い訳がつづきました。
まったくなんて会社だと思ったが、旦那もとても身体がつらそうな口調でした。
私はともかく早く帰ってねと愛想良く返事をしました。
(2)
夕食は出来合のおかずを買って済ませようと思ってスーパーに行きました。
すると、近所の旦那さんが買い物をしていのを見つけました。
家の旦那が、よくいっしょにゴルフに行く仲間の邦夫さんでした。
嫁さんが出産のために実家に帰っていて、当分は一人暮らしだと言います。
このところ、売ってるおかずばかりで食べ飽きたと愚痴をこぼされました。
それだったら、すき焼きくらいだったら私作りますよと、愛想を振りまいておこうと話しかけると、じゃあ今夜すき焼き作って下さいと言い出します。
私はおせいじで言っただけなのに、と思いましたが本気らしいのでしかたなく二人ですき焼きの材料を買いました。
台所ですき焼きの支度をしていると、なにか手伝うことはないかと言って邦夫さんが台所に入ってきました。
いいですからテレビでも見て手下さいと言おうとしたとき、邦夫さんは後ろから身体を寄せてきました。
私はこれはまずいと思いましたが邦夫さんの力は以外と強くて逆らえませんでした。
欲望の儀式が始まる予感が、私の身体を襲いました。
しだいに激しさを増す欲望には抵抗する気力もなくなるほどの荒々しさがありました。
逃げることの出来ない、快楽の時が始まったことを、私は思い知らされました。
抵抗する気力もないくらいに私の体はもてあそばれました。
征服者が最後の満足の時を告げるのを待つよりほか、もう望みはなくなりました。
廃墟となって燃え続ける私の身体に、邦夫さんは所有者の杭を誇らしげに打ち込み続けました。
(完)




